オルタナ

ライブと映画

cali≠gari"セックスと嘘とライヴハウス"5.19@梅田AKASO

cali≠gari第8期初となる全国ツアー、"セックスと嘘とライヴハウス"@大阪に行って参りました。
チケ発の際に新人高校生バイトくんから受けた、ドヤ街に打ち捨てられた使用済み注射器を見るような侮蔑的な眼差しが忘れられません。初めて夜の新宿歌舞伎町を見た時の私と同じ目をしてた。

去年の野音以来約8か月ぶり、そして初の8期を拝みに行くということでいつもより期待度も楽しみな気持ちもかなり高めでした。3月に発売されたニューアルバム「12」の振り切れたスピード感や岩をも砕いて踏み越えていくようなマッシブなパワフルさ、そして何より先日公開された紅麗死異愛羅武勇のあのド変態ビデオを目の当たりにしてからというもの「早く俺にこのバンドを見せてくれー!」という気持ちがこれまでに無い程に高まっていました。そういう期待感に加え、最後にカリガリを観た7期終了の野音がこれまでに行ったどんなバンドのどんなライブよりも最低最悪だったので、早くその悪しき思い出を更新したいという焦燥にも似た渇望もありました。

と、このように過剰な期待を抱いてライブを楽しみにしていたにも関わらず、FC先行のチケ発の期限をミスして結局一般でチケットを購入するという失態を犯しました。でも丁度真ん中くらいの位置からステージを全体をじっくり俯瞰出来て良かったと思います。ということで以下感想。

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10分ほど押したのちステージが暗転し、まずはサポートドラムの中西さんが登場。その後は多分研次郎さん→青さん→石井さんの順だったと思う。全身は見えなかったけど、青さんは金髪坊主に丸眼鏡、メイクはメタリックな青のアイシャドウで衣裳はキャミソールの上からややぴったりめな白衣を羽織っており理科室の色魔って感じでした。研次郎さんは左に流したくしゃふわヘアーに黒のノースリーブ、石井さんは二の腕から下が細かいボーダーになってる網素材のスケスケトップスに巻きスカートでした。ヘアはボブさん曰く加藤○リヤを意識したらしいけど、実際はそんなに○リヤっぽくもなく普通にかわいいポニーテールでした。メイクは眉毛無しの真っ黒シャドウに加え、アクセント的に鮮やかな赤のシャドウが目尻からおでこに掛けてサッと入っていて綺麗だった。背徳的な網から透けるつるんとした肌や蜂のおしりや蜘蛛の脚を思わせる袖のしましま、ポニテの先っぽの鋭さや毒性を象徴するような赤いシャドウなど色んな要素が相まって、世界の富豪たちが政府から隠れてこっそり飼ってる高級毒サソリみたいでした。

で、メンバー全員が出揃ったところで間髪入れずに脳核テロルがスタート。そのあとも畳み掛けるようにマネキンとかクソバカとかいわゆる暴れ曲が続いて、前の方はしょっぱなから大変盛り上がってました。あとは暗中浪漫がこのタイミング!?ってとこで来てちょっと不意を突かれた。もしかしたらライブで聴くの初めてだったかもしれない。個人的には踏のイントロのギターがバシッとキマった時の青さんの流し目ドヤ顔が最ッ高にクールかつキュートだったことが印象的です。

1回目のMCは「大阪ー!楽しんでるかー!」という威勢のいい研次郎さんの一声から始まり、「今日って平日でしょ?お仕事とかあるだろうに来てくれてありがたいですよ。てかみんな仕事してんの?俺たちは今仕事中(笑)」とニートの炙り出しをされておりました。引き続き、「今日はもうこれでMCは最後なんですよ。(客:えー)昨日青から"明日のライブは飛ばしていくわよ"ってLINEが来てね。」青さん「じゃあ10と11の間に休憩入れましょ。」研次郎さん「え?本当に入れるの?そこで休憩いらなくない?」青さん「いるわよ」石井さん「飛ばしていきたいっていうこの気持ちと体が追い付かないんですよね」青さん「そう、これが老いよ」と仰っておりました。研次郎さんは休憩なしでも行けるような雰囲気醸し出してたけど、石井さんと青さんの賛成によりもう1回休憩が入ることになりました。民主主義だね。

この時に石井さんが髪型のことについて「個人的な話ですけど、今日の髪型のイメージは加藤○リヤなんですよ。(客:!?)メイクしながら髪型どうするって話してたんですけどボブさんが"あの子ブスだよね"とか言うんですよ。あ、俺はブスだなんて言ってないですよ。ボブさんが言ったんです。」と確かに言ってはいないが心中はそう思ってることを告白して下さり、青さんが「ねぇ、大阪まで来て他人の悪口なんてやめようよ…。私あの子結構好きなんだから…。カラオケでもよく歌うし。清水○太とかも歌うんだから…。」と制止に入る学級委員長的な一面が垣間見えました。それに対して「俺も好きですよ(ケロリ)。」なんて返す石井さんはもう校庭1周の刑(甘い)。

その話の流れで研次郎さんが「○リヤと秀仁くんどっちが可愛い?」と客席に投げかけ、秒速で\しゅーじー!(大合唱)/と返ってきたわけですが、それを聞いて「ふふん、当然でしょ」みたいな殊勝な顔つきをしていた石井さんに沢尻エリカを重ねて見たのは私だけじゃないはず。

その後はとある仮想と→空想カニバルという至福のコンボが続きつつの、フィラメントや紅麗死異やバンバンバン、セックスと嘘など12の曲を出し惜しみなく披露してくれました。とある仮想とは12の中でも特に好きな曲だからイントロが流れた瞬間めちゃくちゃテンション上がった。曲に入る前に研次郎さんがフレットレスベースに持ち替えてたんだけど、限りなく正確かつ無駄のない指の流れに度肝を抜かれた。ライブ中は基本的に石井贔屓な私ですら、曲中はその饒舌でなめらかなべースプレイを繰り出し続ける研二郎さんに釘付けでした。前半のアクセントでもあるうねるようなラインはしっかり強調して出すのに、サビになると途端に半歩下がって夫を立てるような奥ゆかしい妻に早変わる様はもう天才としか言いようがない。12を初めて聴いた時も研次郎さんのベースに感動して"ナイスバディ奏法(出すところは出す、引っこめるところは引っ込める演奏の意)"というのを勝手に命名してたんだけど、実際に目の前で聴けて感動しました。いつもはセンターだけど今度は下手に行ってみようかななんて思うくらい本当にかっこよかったです。

空想カニバルは大阪の定番なのかってくらいよく聴いてる気がするけど、何度聴いても情景の美しさが繊細に更新されていく。空間的なギターと気怠いボーカルと底部で疼くベースと泡立って消えていくような軽やかなドラムがスモークで満ちたステージで融和されていくのを様子を見るのがたまらなく好きです。今日のエメラルドグリーンの溶け出すような質感の照明もとても綺麗だった。

12の曲はまだあんまりライブで演奏されてないせいもあって曲が始まるとノリ方が分からずフロアがどことなくぎこちない感じになる場面もあったけど、バンバンバンでドラクロワのあの民衆を導く自由の女神の絵のごとく天高く拳を突き上げる石井さんを見てると、意識せずとも自然に手が上がりました。石井さんは他の曲でも軽快なステップを踏んだり飛んだり跳ねたり回ったりしてたのでつられてこっちも盛り上がれたし、どの曲も本当に楽しかったです。

アンコールではさよならだけが人生さを演ったんだけど、ラストの「誰の声も聞こえない」のところでスポットライトがセンターだけにパッと当たりその金色の光の中で下を向いて歌う石井さんを見て、初めて7期が終わったということを唐突に実感した。自分ではとっくに踏ん切りがついてるつもりだったから今更こんなことを思うなんて自分でも驚いたんだけど、今日でちゃんと終わらせることが出来て良かったな。ようやく心から8期を応援出来るような気がした。

ダブルアンコールは187→わるいやつらと来てラストは失禁で締め。個人的な話ですけど(※石井さんの真似)、その日偶然にもレンジでチン案件が発生して立腹状態だったためこの曲順は非常に爽快でした。合法的に暴言を喚き散らしてストレスを発散できるなんてなんて健全なライブでしょう。

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大満足の終演後、春の日を買う時に青さんに握手していただいたのですが、つきたてのお餅のごとくふっくらとしてすべらかな優しい両手に包まれて「今日からあんたはあんこだよ!」と理不尽に宣告されてももう受け入れるほか無いなと思いました。

次の名古屋ではギムレットが聴けることを期待しながら残りの1ヵ月を過ごします。

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 (※追記にてその他のMC等を載せています)

  • 何の曲かは忘れちゃったけど、曲の途中で石井さんの付け毛が取れてしまい裏に引っ込んで直すというハプニングがありました。石井さん不在のまま良い声だけが会場に響くというシュールな光景がしばらく続いたのち、ついに曲が終わっちゃってステージに残った3人が次どうすんの?みたいになった時に「いいよ、次続けて」というイケメンボイスがマイクに載って響き渡り、これまで見たどんな映画やテレビ番組よりも上質な影アナ体験をすることが出来ました。

 

  • これまた何の曲か忘れてしまったんだけど、曲の途中で石井さんがマイクを持って演奏中の中西さんのところへ行きコーラスをせがみ二人で歌う我が友よ的なシーンがあったのですが、突然のコーラスに驚きつつもしっかりと歌いなおかつドラムのリズムもちゃんと保っておられたのですごいなぁと思いました。

 

  • MCにて研次郎さんが「別にこの場でする話ではないと思うけどわるいやつらとかクソバカとか(低いテンションの)歌い出しと演奏のテンションが合わない曲って秀仁くん歌いにくいって前言ってたよね?」石井さん「…(コクリ)」研次郎「ほら秀仁くん言ってるよ!」青さん「もぉ~何で内輪をここでやんのよっ!」ってシーンがあって、それがまるで親バカ父さんとわがまま坊ちゃんとしっかり者の母という感じの絵に描いたような家族っぽくて超ほっこりしました。

 

  • 最近の研次郎さんのMCについて、「青さんが俺のMCをdisるんですよ。ギャーとかヴァーとか言うような密室系を育てた覚えはない!って…」青さん「別にdisっちゃ無いわよ」石井さん「俺は研次郎くんを尊敬してますよ。いつもギャーとかヴァーとか言って…(プププ)」というやり取りも魔界版ズッコケ三人組みたいで微笑ましかったです。

  • それに関連して研次郎さんが「一回俺と青のキャラ交代してみるとかどう?青はアンニュイなMCの方がいいんでしょ?(ここで青さんの物真似をする)俺これやるからその代わりその日は青はギャーとかヴァーとかやってよ。俺もセックス関連の曲の前のセックスはお好きですかぁ~?のやつとかやってみたい。」青さん「…それが真似したいだけじゃん(笑)」っていうやり取りも可愛かったです。
    そのあとに青さんが「でもセックス関連の曲って2曲しか無いわよ。…あ、エロチカもか。でもあの曲はセックス!セックス!って盛り上がったあとにあのイントロは変よ」って言ってました。実際今日もセックスと嘘の前に大盛り上がりのセックスコールがあったんだけど、その後に拍子抜けするほど爽やかでダンサンブルなあのイントロが流れてきたのでもし私が吉本の芸人だったらズッコケてたと思う。

 

  • アンコールの前に青さんが一人で先にステージへ出てきた時に「…今みんな楽屋で何話してると思う?また○リヤの話よ…ホント辞めてあげてほしいわ…○リヤとかシミケン良い歌うたうのに…。ん?シミケン??ちょっとやだシミショーよ!清水○太!あたしったらなんであんなシャブ中の名前をア~ッハッハッハッ!」と闊達に笑うその姿から尋常じゃない青ママ感が溢れ出していて思わずママもう1杯って頼みそうになった。

 

  • 一瞬ステージを去ってた石井さんが上条淳士のイラストが大きくプリントされたTシャツを着てステージに戻ってきたんだけど、その服を見て研次郎さんが「そのプリントされてる顔って秀仁くんなの?似てるね?」と尋ね、それを聞いた青さんが「上条淳史を知らないの!?本当に!?」と言って爆笑し始め、幕に頭を突っ込んでひーひーして数分間出てこなかった。その様子を見て研次郎さんが「…なんかよく分からないけど自分の言った何気ないことでこんなに笑ってもらえると嬉しいもんだね!」と無垢な笑顔で仰っていて、もし私が吉本の芸人だったら(以下略)。ようやく笑い死にから生き返った時に青さんがぼそっと「…よく20年も一緒にやってきたわ(笑)」と呟いていた。

 

  • 青さん「今日こんなにたくさん来てもらってるけど会場の3/5くらいしか埋まってないのよね。それで何でか理由を考えてみたんだけど、今日ミスチルのライブもあるのよ。みんなミスチルって知ってる?ミスターチルドレンよ。ミスチルのせいでここが埋まらないの!きっとそうなのよ!」と後にも先にも無いであろうミスチルの正式名称をご教授頂くありがたい機会がありました。 

 

  • 耳の中に汗が入ってイヤモニが取れちゃうと困っていた石井さんに「これ(ヘッドホン)いいよ。」って自分の頭を指さして小声ですすめてあげるシーンがあったり(しかし石井さんは断った)と青さんのかわいいところがたくさん見れて良かったです。

 

  • 私は見えなかったんだけど、石井さんがアンコールで着替えて出て来たときにちゃっかりゴートのグッズのレギンスを履いて出てきていたらしく、それが見れなかったことだけが唯一の心残りです。ゴートのライブで履くのはあんなに拒んでたのにかわいいですね。