オルタナ

ライブと映画

17歳のカルテ

これもピンポンと同じでずっと前から観よう観ようと思ってて長らく観てなかった分。思ってたよりも素晴らしかった。思ってたよりも、というか想像してた雰囲気とは違ったけどそれが良い裏切りのほうだったというほうが正しいかな。例によってあらすじはろくに確認せずに「精神病院系の話だから」って理由だけで借りてきて、パッケージのポップさというかそのアメリカドラマ的なパケのイメージで見始めたから、実際観てみたら思いがけず重たい話でずっしりと見応えがありました。

見る前と見終えた後で私の中でいったい何が変わったかというと、何と言っても一番はアンジェリーナ・ジョリーに対する認識です。恥ずかしながらこれまで彼女のことは叶恭子にそっくり(完全に逆輸入)な上唇がすごくぷっくりした名前がゴージャスなハリウッド女優というふうにしか記憶してなかったのだけど、見終えた後にはアンジー!(と呼ばれていることも知った)あんたは最高のアクトレスよ!と心の中の全私がスタンディングオベーションしておりました。メンヘラ特有の虚ろな目も仕草も隙なく演じきっていてそこももちろん流石という感じだったのですけどその中に差し込む鋭い生への執着とか、そうかと思えば手のひらを返したようにうなだれて煙草をふかす顔の気だるげな表情とかはもう圧巻でした。リアルな精神病の人との関わりって私自身そんなに無いんだけど、彼ら彼女らに共通する浜辺の砂の城みたいな虚勢と脆さってこんなにも普通の人間(といっても大女優だけど)に表現出来うるものなんだね。ただただ脱帽です。

主役のウィノナそっちのけでアンジーを褒めちぎっておりますが、ウィノナについては顔がかわいすぎて終止見惚れてました。現実の知り合いにも女優級いやそれ以上に完璧な顔の美人がいるんだけど、その人とお話ししててもあまりの造形の美しさに見惚れてしまってあまりどんな話をしたか覚えていないっていう実体験がありまして、ウィノナもそのタイプかもしれない。でも印象が薄くなってる一番の理由はアンジーに引き込まれ過ぎてるっていうのだと思います。wikiにも「新人だったアンジーのエキセントリックかつ繊細な演技力のほうが高く評価され、『この役(リサ)を演じれば誰だってオスカーが獲れる』と発言した」と書かれてるのを読んで、私以外の目から見てもやっぱりウィノナの印象は薄いんだというのが分かった。スザンナは良い意味でも悪い意味でも”普通”を演じきらないといけないから、これはこれで正解だったと思うし僻むようなことじゃあ全くないとは思うけど私はウィノナじゃないからその辺は分からないな。

健常者が自由意思で精神病院に入院してその中で成長していくっていう話の構成は「カッコーの巣の上で」を彷彿とさせるけど、こっちの話のほうが救いはあるかなぁ。こう考えてみてもやっぱりカッコーの結末って本当に悲しいしつらい(大好きな映画だけど)(そういえば舞台になるんですね)。

最後に、”カミソリは痛い、水は冷たい、薬は苦い、銃は違法、縄は切れる、ガスは臭い、生きてるほうがマシ。”というリサの名言を記して終わります。

 

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