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オルタナ

ライブと映画

GOATBED"HEAVIER THAN A DEATH IN THE FAMILY"12.4@渋谷 CLUB QUATTRO

今年もまた石井秀仁バースデー(前)ライブに行ってきました。2012年の初参加から(そのライブが記念すべき初ゴートでもありました)、4年連続フライングお祝いに駆けつけられているようで嬉しい限りです。ということで石井さん38歳のラストギグの感想をしたためておきます。

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大体定刻通りに始まって、一曲目はin the OVAL。いつもと同じく上手に石井さん、下手に雄次さんというスタイルでした。この日の石井さんのお召し物はドット柄の長袖シャツの上に黒のボレロ風ジャケットを羽織り、淡い水色のデニムにサスペンダーといった出で立ちで、魔界のお食い初め式に出席した見習い悪魔みたいだった。雄次さんは金髪のツーブロックに黒のシンプルなトップス、千鳥柄のスキニーという格好で、警察が秘密で囲ってる敏腕ハッカーがいればこんな人だろうなって感じのチャラさと聡明さが同居したミステリアスな風貌でした。二人揃って明らかに娑婆には存在しないタイプの兄弟だったし、ゴートのライブが視覚から感じさせてくれる裏21世紀感は何度見ても鮮烈にときめいてしまう。ステージの高さを差し引いてもやっぱりゴートは手で触れられないところにいる、と再確認した。

で、in the OVALなんだけど、突然バックスクリーンにサバンナのような何らかの壮大な自然とそこに住まう生き物たちのモノクロの映像が流れ出し、一瞬教育ビデオが始まったのかと思った。その上その映像にテロップのように”私たちのいるこの小さな宇宙は輝く愛で満たされています”とか”さぁ自分たちを解放しよう”といった旨の英文が表示されていたので、石井さんついに涅槃に辿り着いたのかな…って思ってしまった。前もなんかのライブで人類進化の過程の映像使ってたし、もしかしたら本当に真理に辿り着いてしまわれたのかもしれない。

2曲目はBETTY BLUEで、音源の雰囲気そのままのダークネスなエロさにシビれました。しかし先週のザビを引きずったままライブに来てしまっていた私は、ついつい飛び散る君の破片をこの手で拾い集める石井さんと悪徳様とをオーバーラップさせて聴いてしまいました。この世のすべては紙一重…†

あとはドーナツ盤からの曲だったり配布の曲だったりスリッポン、FORM SWEET FORMなど全体的に近々の曲が多めだった印象。MCらしいMCはアンコールで再登場した時以外なく、流れとしてはほぼノンストップで勢い強めでした。いつもよりもボコーダーとか声の加工が控えめだったような感じもあり、石井さんのローな歌声を存分に堪能できました。

特に印象に残ってるのはスリッポンでめっちゃ生き生きしてた石井さん。スリッポンは他の曲よりも微妙にお客のノリが良かったのですが、その雰囲気を受けてか石井さんも始終ニコニコ歌っており、見ているこっちもニヤニヤせずにはいられなかった。スリッポンの”ポーン”で文字通り下手にポーンと飛んで行った石井さんのコミカルなかわいさが数日経った今でも忘れられません。誰かあの時のGIFアニメ作ってほしい。

あと今回のライブで特に目に焼き付いて離れないのは、燃えるような赤の照明が上気した石井さんの肌をつややかに照らし出したあの一瞬。石井さんの湛える深くて強い美しさをこれでもかと思い知らされた。赤の照明が一番映えるHOLO GHOSTをやらなかったのは残念だったけど、この日のTBPTもHOLO GHOSTに負けず劣らず美しかった。この曲だったかどうかは定かではないけど、胸を抱いて歌ったり膝をついて客席を見つめたり、マイクスタンドをほうきに跨って遊ぶ小学生のごとく扱ったりと、情熱的なパフォーマンスが多く見受けられ、ちょっとした舞台石井って感じでした。最近の石井さんは感情表現が豊かだね。

それと今回配布のde NUDEと可愛いベイベーはタイプは違うけどどちらもどストライクでした。de NUDEは"ABC de NUDE"の部分をウィスパーで歌う石井さんのセクシーさにくらくらしたし、可愛いベイベーはゴートにしてはかなり激しくて、新たな一面を垣間見た感じがあった。一番好きだったのは可愛いベイベーで「どこでノればいいの?」って感じの手を上げあぐねている客たちに「ここだゼ!」って顔で手を上げるタイミング指揮してくれたところ。一生ついていきたいタイプの石井さんだった。家に帰って可愛いベイベーの原曲をネットで探して聴いてみたんだけど、あまりの印象の違いにびっくりした。原曲のほうは純粋に母から子へって感じだけどゴートのほうは銀座で栄華を極めた高級ホステスからお付きのボーイへの禁断の愛の歌みたいなイメージ。強い者から弱い者へっていう関係性は同じだけど、意味合いが圧倒的に後者のがセクシャルで高圧的。あの曲をこうアレンジしようとした気概に乾杯です。

ラストはThe optimist sees the dounght~からのROSE&GUNという大好きな曲のコンボで終わり、この上ない多幸感でいっぱいになりました。ROSE&GUNは音源で聴いてもライブで聴いてもその場でしおれこんでしまいそうなくらい愛おしく感じてるのに、バックのバラの花びらが舞い散るおもしろ映像のせいで悔しいことに気を取り直してしまう。目を閉じて聴けば解決するんだろうけど、I'll be in love until I die~♩のところのシュージステップを括目せねばならないという責務を背負ってるのでそれは出来ないです。

アンコールでは物販のTシャツに着替えて出てきて「今日は三つお知らせがあります。一つは悪いことで(客:えーっ)、もう二つは良いことです。」みたいな意味ありげな布告、しかも一つ目は雄次さんをチラチラ見ながら言うもんだから「あっこれは脱退だ…ついにゴート(シングル)ベッドに…」と本能的に覚悟を決めた。そしたら「…今日配ったCDなんですが半音ズレてました。midiって分かる?まぁ分からなくてもいいけど。midiっていうのは~(以下専門的な話)。…あれ、何の話だっけ。まぁ俺の話はあっち行ったりこっち行ったりするから…(ニヤリ)。ともかくそのデータがズレてた。このところ多忙だったじゃないですか。その忙しい中作ってたらいつの間にか半音ズレてしまっていて気付いた時にはもう遅かった。正直今日に間に合うかも分からなかったし、もう郵送かなってレベルだった。」とのこと。さっきのあの意味ありげな視線は一体…と反射的に脱力してしまったけど、家のポストにゴートからのお届けものが入ってる図を想像したらとんでもないレベルのほっ○り(※公式に禁止されているため伏字)に見舞われたため、思わせぶりな伏線も一瞬で許してしまいました。ちなみにその他二つの良いニュースは、ニューアルバム発売決定&全国ツアーの発表でした。

で、どういう脈絡で始まったのかは忘れてしまったけど「今年はゴートも個人的な活動の方も凄い数のライブをした、多分史上最高じゃないかな?昔はライブやるの好きじゃなかったんですよ、でも最近は楽しい。皆さんが集まってくれるから出来るんです。本当にありがとう。」みたいなことを突如真面目に言い出すもんだから身心の涙腺が崩壊した(この時の私の頭の中には新宿コマし屋のブトーレグDVDで客に背を向け気怠そうに歌う石井さんの姿が走馬灯のように走っていた)。更に「皆さんのおかげでこうやってライブが出来るんです。あの、皆さんって言うのはスタッフも含めての皆さんね。スタッフもイカしたやつばっかりの楽しい環境なんですよ。本当にありがとう。」とも話していて、あまりの突然の謝辞にこの一連の言葉は辞世の句か何かなのかと勘繰ってしまったけれど、こういう風に真摯に思いを伝えてくれる人のファンになれて良かったなと心底思いました。昔の数々のおいたはともかく…。

ありがたいお言葉のあとは「今から意外な曲をやります。意外といってもここにいる皆さんの8割9割は知ってると思うけど。ここにいない人の声も聞こえてきますけどまぁその辺は。」という前置きとともにXA-VATのEPOC TRACEが始まった。ツアータイトル的に裸のラリーズのカバーでもするのかなと思いきや全く関係なかったです。その後はTHE ROLLING RUBBER BALL、2x2のOUTROと来てこの日のライブは終了。OUTROで大切な本を閉じるように深く丁寧にお辞儀をしてハケていく石井さんを見て、今日のライブは頭から爪先まで丁寧に作られものだったんだなというのがひしひしと感じ取れたし、そういうライブを見れたことが嬉しかった。決して普段が丁寧じゃないって言ってるわけではないのですが、色んな要素も相まってこの日のゴートはここ最近見た中で一番良かったと思う。

39歳の石井さんのご活躍も楽しみにしています。

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