オルタナ

ライブと映画

XA-VAT『艶℃』@東京キネマ倶楽部

 昔から四季の中で夏がダントツ嫌いで、会う人会う人に「なんで夏に生まれたのに夏が嫌いなの?」と無垢な顔で尋ねられるたび、事実と意志を混同するなよと侮蔑の念を送りながらも、困ったような笑みを浮かべながら「暑いのが苦手だから」と情けなく答え続けていた私であるので、「平成最後の夏」と世間が浮足立ってる様子を見てもなんとなくピンと来ず、ただこの先連綿と続いていく夏という地獄の季節の一部なのだとしか思えなかったのだけど、この夏に輪郭を与えるのならばやはり悔しいながらも"平成最後"が最も適当なのだろうなと思う。

ということで、夏の総ざらい。

 

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7月28日と29日はXA-VAT@東京キネマ倶楽部。最近先行でチケットを取り忘れるという事態が頻発していて自分自身にほとほとウンザリしているのですが、例に漏れずこの公演もそうだった。絶望に打ちひしがれながら取り忘れた旨をつぶやいたのを目に留めてくれたフォロワーさんから1枚譲って頂き何とか事なきを得、「もうこんなことは無いようにしよう…」と固く誓った舌の根も乾かぬうちに今度は12月の先行の申し込みを忘れてしまいました。というかFCの入会期限を過ぎた。本当にアホ。

そんな感じでやや不穏に滑り出した今回の公演でしたが、この失態の上に更にこの日は台風が関東に接近していて、新幹線で東京に近づくにつれどんどん雨脚が強くなっていった。車窓に滲んでいく自分の顔を見ながら「一体私はここまでのリスクを冒して何がしたいんだろう?」と、遠征中に考えてはいけないことナンバーワンの思考に陥ってしまったけど、そうこうしているうちにあっという間に鶯谷に到着。なんというか、この街って山の手線の駅の中で最も「便所臭い」って言葉が似合いますよね。で、3年ぶりだと思ってたけど実際は7年ぶりだったXA-VATは超絶カッコよくて眩暈がした。23世紀のチェッカーズみたいなファッションに身を包んだ3人は明らかにここではない別の惑星からやって来たネオンみたいなオーラを纏っており、ああこの並びを瞼に焼き付けられただけで元を取ってしまったな~と先ほどまでの憂鬱とは打って変わってとんでもない充足感に包まれた。カリガリの放つ「別の物語の主人公たちがうっかり交わってしまったがお互いの利害がたまたま一致したから目的達成の為だけに寝食を共にしている」みたいなちぐはぐなパーティ感も好きだけど、ザバットみたいな明瞭な統一感もまた良きだなと思った。この二日間で一番好きだった石井さんはZEROTICAの「Don't touch,Don't touch,Don't touch~♪」パートでおもむろにお召し物を脱ぎ出し、玉のような肩をさらけ出して客を煽るストリッパーみたいな石井さんです。言ってることとやってることが違いすぎて辞書の「言行齟齬」の欄に追加したかったです。ありがとうございました。

一番好きだったMCは、悪天候のせいで会場に来れなかった人が100名以上いるという事実を受けての「その人たちの分まで楽しんで…も来れなかった人は何も報われません」というお言葉。石井さんのこういうところが好きなんだよなぁと再確認した日だった。

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